一言に相続といっても - 悲しみの淵で知っておきたいこと
深い悲しみに包まれている中、様々な手続きについて考えなければならないことに、心身ともに疲弊してしまうかもしれません。「相続」と一言で言っても、その内容は多岐にわたり、故人との関係性や財産の種類、ご遺族の状況によって、進め方は大きく異なります。
このブログでは、皆様が少しでも穏やかな気持ちで、一つ一つの手続きを進めていけるよう、行政書士の視点から、相続に関する様々な情報を分かりやすくお伝えしていきます。
今回は、まず相続手続きの全体像と、悲しみの中で最初に知っておくべき大切なことについて解説いたします。
相続手続きの全体像を知る
相続手続きは、一般的に以下の流れで進んでいきます。もちろん、個々の状況によって前後したり、不要な手続きがあったりしますが、全体像を把握しておくことで、今何をすべきか、今後何が必要になるのかが見えてきます。
1.死亡の確認と死亡届の提出
まずは、故人様の死亡を確認し、市区町村役場に死亡届を提出する必要があります。普通、葬儀社が代行してくれることが多いですが、期限が定められていますので注意が必要です。
2.葬儀・告別式
故人様を偲び、弔うための儀式です。
3.遺言書の確認
故人様が遺言書を作成されているかどうかを確認します。遺言書の有無は、その後の手続きを大きく左右します。公正証書遺言の場合は公証役場で、自筆証書遺言の場合は家庭裁判所で検認の手続きが必要になります。
4.相続人の確定
誰が相続人となるのかを戸籍謄本などを収集して確定します。
5.相続財産の調査・評価
故人様がどのような財産(不動産、預貯金、株式、自動車など)を所有していたかを調査し、その価値を評価します。
6.相続放棄・限定承認の検討(必要な場合)
相続財産に多額の借金がある場合などは、相続放棄や限定承認といった手続きを検討する必要があります。これには期限があります。
7.遺産分割協議
相続人全員で、どの財産を誰がどのように相続するのかを話し合い、合意します。
8.遺産分割協議書の作成
遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類を作成します。
9.相続財産の名義変更・換価
不動産や預貯金などの名義を相続人に変更したり、株式などを売却して現金化したりします。
10.相続税の申告・納税(必要な場合)
相続財産の総額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告と納税が必要になります。これにも期限があります。
悲しみの中で最初に知っておくべき大切なこと
深い悲しみの中では、様々な手続きにすぐに取り掛かることは難しいかもしれません。しかし、中には期限が迫っているものもありますので、以下の点だけはまず知っておいていただければと思います。
死亡届の提出期限:原則として、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は3ヶ月以内)に提出する必要があります。
相続放棄・限定承認の期限:原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に行う必要があります。
これらの期限を過ぎてしまうと、本来できたはずの選択ができなくなる可能性がありますので、まずはこの2点だけ念頭に置いていただければと思います。
行政書士ができること
私たち行政書士は、相続に関する様々な手続きのサポートをすることができます。
相続関係説明図の作成
戸籍謄本等の収集
遺産分割協議書の作成
相続財産調査のサポート
金融機関等の相続手続きの代行
相続放棄・限定承認の手続きのアドバイス・書類作成
もちろん、精神的なご負担が大きい時期ですので、無理にご自身で全てを行おうとせず、私たちのような専門家にご相談いただくことも一つの選択肢です。
このブログが、皆様の心に少しでも寄り添い、 小さな一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。
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