【親が認知症…その家、どうする?】空き家と成年後見制度を解説します
今回は、空き家問題と密接に関わる、
「認知症の親の家をどうすればいいのか?」というテーマで進めていきたいと思います。
これは、地方で行政手続きの相談を受けていると、実に多くの方が抱えている深刻な課題です。
🏚️空き家になる前に…こんな状況、心当たりありませんか?
・実家にひとり暮らしの親が高齢になってきた
・最近、少し物忘れがひどくなってきた
・家は古くてボロボロ。でも「住み続けたい」と言っている
・子ども世代はすでに県外や都市部に移住済み
・「売る」「貸す」「壊す」…どれも進められない
このような状況は、「空き家予備軍」と呼ばれる段階です。
そして、親御さんが認知症を発症してしまった場合、その空き家は一気に「動かせない資産」となってしまいます。
❗認知症になると、家は売れない?貸せない?
多くの方が誤解しているのですが、
認知症になると、不動産に関する以下のような法律行為は、原則として無効または不可能になります。
🔒 売却契約を結ぶ
🔒 賃貸借契約を結ぶ
🔒 解体の同意をする
🔒 贈与や譲渡をする
🔒 相続に備えて登記を変更する
なぜなら、契約や法的行為には**「意思能力」**が必要だからです。
意思能力とは、「自分が何をしているか理解して判断できる能力」のこと。
認知症が進行し、この能力が欠けていると判断された場合、本人の意思だけでは不動産を動かせなくなります。
⚖️成年後見制度という選択肢
では、親が認知症になってしまったら、その家をどうすればいいのでしょうか?
そこで出てくるのが「成年後見制度」です。
この制度を簡単に言えば:
✅ 判断能力が不十分な人に代わって
✅ 法律行為を代理・補助してくれる制度
後見人が家庭裁判所によって選任され、
本人の財産を守りつつ、必要な法律手続きを行うことができます。
🧩でも、こんな注意点も…
成年後見制度は便利な制度ですが、いくつか注意すべきポイントもあります。
📌 一度始めると基本的に「終身」
📌 毎年の報告義務がある(裁判所への財産報告など)
📌 不動産売却には「家庭裁判所の許可」が必要
📌 家族が後見人になれない場合は、第三者が選ばれることも
「とりあえず申し込めばいい」というものではなく、
家庭状況・資産内容・本人の希望を踏まえた上で、慎重に判断する必要があります。
📝行政書士にできるサポートとは?
行政書士は、以下のような場面でお力になれます:
🔹 成年後見制度の手続き相談・申立書作成
🔹 財産目録や親族関係図などの作成支援
🔹 相続・遺言のアドバイスと事前対策
🔹 空き家の利活用・解体・名義変更に関するアドバイス
さらに、弁護士や司法書士、福祉関係機関との連携窓口として動くこともできます。
💡事前にできる「家族の準備」とは?
将来、空き家を“負動産”にしないために、
元気なうちに以下のような対策を検討するのがおすすめです。
✅ 家族で話し合いをしておく(誰が相続する?管理する?)
✅ 任意後見契約を公正証書で結んでおく
✅ 家の名義を確認し、必要なら生前贈与や遺言で整理
✅ 売却・賃貸・利活用について、専門家と事前に相談しておく
🏠まとめ:空き家と認知症は、実は“同時に起きる”問題です
「空き家の問題は、建物の問題じゃなく、人の問題です」
これは、私が何度も感じてきた実感です。
親が元気なうちに、
「もしものとき、この家をどうする?」
「相続はどうしたい?」
そんな会話を避けずにしておくことで、
家族が揉めず、地域の中で空き家が負担にならずに済む未来が待っています。
※この記事は2025年6月現在の法制度をもとに作成しています。
詳細は各自治体・法務局・家庭裁判所の最新情報をご確認ください。
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