医療機関の経営難が突きつける日本社会の危機──政治が向き合うべき“命”の現場
「医者は儲かっている」――
そんなイメージが未だに根強い。
白衣をまとい、高級車に乗り、悠々自適な生活。
だがその実態は、まったく違うものになりつつある。
今、日本の各地で中小の医療機関が経営破綻や閉院に追い込まれている。
特に地方では深刻だ。診療所が閉まり、最寄りの病院まで車で1時間という地域も増えてきている。
■ 医療機関を苦しめる「目に見えないコスト」
その背景には、物価の上昇、電気代や医療機器コストの高騰、人材確保の困難さがある。
看護師・介護士・技師たちの賃上げ要求は当然だが、国からの診療報酬は大きくは増えない。
つまり、収入は横ばいのまま、支出だけが膨らんでいるという状態だ。
さらに、感染症対策の備品や体制整備で費用もかさむ。
それでも「地域の命を守る」という使命のもと、現場は踏ん張っている。
■ 医療が崩れるとき、最初に苦しむのは「弱者」
今、医療崩壊という言葉が空虚な脅しではなく、現実として進行している。
特に影響を受けるのは、高齢者・障がい者・低所得者層だ。
高齢化社会が進むなかで、医療機関は単なる「治療の場」ではなく、
「地域の福祉・介護と密接に連携した最後のセーフティネット」となっている。
その拠点が失われるということは、地域社会の崩壊に等しい。
■ なのに、政治は“選挙”で頭がいっぱい?
こうした問題は、本来であれば政治の最重要課題であるはずだ。
だが、どうだろう。
テレビで連日報道されるのは、次の選挙の顔ぶれや、政局の駆け引きばかり。
選挙公約に「医療再生」や「地域医療守ります」と書く政治家は多いが、
現実に動いた人はどれだけいるだろうか。
診療報酬の見直しも先送り。
介護との連携強化も掛け声だけで、現場に届いていない。
■ “命の価格”は、誰が決めるのか?
これは、ただの経営問題ではない。
「命を守る仕事に、どれだけの価値をつけるのか」
という、日本社会全体の問いなのだ。
医療機関を守るということは、将来の自分自身や家族を守ることでもある。
私たち一人ひとりが、この問題を“自分ごと”として捉え直す必要がある。
そして、それを支える制度・政治がどうあるべきか、選挙のたびに厳しく問う有権者の姿勢が必要だ。
【まとめ】
・医療機関の倒産は増えており、地方では医療難民が発生
・物価高・人件費高騰・診療報酬の低迷が経営を圧迫
・政治は現場の疲弊に目を向けず選挙ばかり
・本当に守るべきは“命のインフラ”である医療現場
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