2025年8月1日から始まる主な制度・税制・行政手続きの変化を整理
① 8月1日 日・ウクライナ租税条約の発効
概要:
日本とウクライナの新租税条約が、2025年8月1日に発効しました。情報交換・徴収共助の規定はこの日から、配当・使用料などの軽減税率適用は2026年1月1日開始の課税年度から適用されます。
具体例:
・日本企業A社がウクライナの子会社へ配当を支払う場合、持ち分25%以上かつ6か月以上保有なら、源泉税率は従来の15% → 5%に軽減される可能性があります。
・特許や商標の利用料も、一律5%の源泉国課税が適用されるため、国際ライセンス料の支払い時に税負担が軽減されます。
② 年末調整・所得税控除の見直し(令和7年分所得から適用)
改正ポイント:
・基礎控除額:年収2,350万円以下の個人で58万円(最高)、2,400万超は段階的に48→16万円へ。
・給与所得控除の最低保障額:従来55万円→65万円に引き上げ。
・特定親族特別控除:19~22歳の非扶養大学生等に対して、父母等が所得要件内であれば最大63万円控除。所得階層に応じて控除額が変動。
具体例:
・年収300万円の会社員が扶養なしの場合、基礎控除58万円+給与控除65万円=123万円の控除対象。従来58+55=113万円 → 実質10万円分の課税所得が減少して減税効果あり。
・子どもが19歳の大学生(所得80万円)の世帯では、父母が63万円の特定親族控除を適用可能 → 税負担がより軽減されます。
💬 相談者向け:Q&A形式
Q1. 「2025年分の年末調整はどう対応すればいいですか?」
A1. 年末調整で適用されるのは「令和7年分所得税改正」。基礎控除58万円、給与所得控除の最低65万円と、特定親族控除が新設されました。特定扶養対象に該当する大学生等がいる場合は、扶養欄の記入と必要書類の確認を。年末調整後、足りない場合は確定申告で追徴申請が必要です。
Q2. 「扶養している子が123万円以上稼いだ場合は?」
A2. 基礎控除を受ける扶養親族は、所得要件が従来の48万円から58万円以下に引き上げられました。さらに特定親族控除の対象は123万円以下となります。123万円超では特定控除は消失しますが、一般扶養控除(38万円程度)は58万円以下であれば継続可能です。
Q3. 「ウクライナとのビジネスがある場合、今すぐ何を準備すればいい?」
A3.
①情報交換規定(転送・徴収協力)は8月1日から即時適用されるため、税務申告や報告書類の整備を。
②2026年1月以降の課税年度に配当や使用料を支払う場合、源泉税率の軽減対象かどうかを確認し、条約適用手続きを進めておくことが重要です。
Q4. 「小規模事業者・企業として活用できる税制変更は?」
A4. 年収800万円未満程度の小規模法人/個人事業主にとっては、給与所得控除の最低保証引き上げにより課税所得が圧縮され、税負担が軽減されます。特定扶養控除も活用できる場合は、従業員・家族の収入状況を把握して利用の検討を。
✅ まとめ(8月1日以降、今どこまで対応すべきか?)
・ウクライナ租税条約(情報交換及び徴収共助)
運用開始:2025年8月1日
今すべきこと:関連企業は報告体制の見直し・準備
・ウクライナ租税条約(源泉税軽減 配当・使用料等)
運用開始:2026年1月1日以後の課税年度
今すべきこと:税効計算準備/条約適用手続き確認
・所得税控除改正(基礎控除・給与控除・特定親族)
運用開始:令和7年分(2025年分所得税→年末調整開始は2025年12月)
今すべきこと:年末調整書類のチェック・扶養状況の整理
・源泉徴収税額表の改定
運用開始:2026年1月1日以降の給与・年金支払い分
今すべきこと:会計/給与システムの更新確認
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