「65歳以上で働くと年金が削除される」というネットニュースは本当?
はじめに:そのネットニュース、誤解していませんか?
最近、「65歳以上で働いていると年金が削除されるらしい」という情報をネットやSNSで目にした方もいるかもしれません。
一見するとショッキングな内容ですが、実はこれは誤解を招く表現です。
この記事では、「働いている高齢者の年金がどう変わるのか?」について、年金制度のしくみをわかりやすく、深掘りして解説します。
これを読めば、将来の生活設計に不安を感じている方でも安心できる内容になっています。
結論:年金は「削除」されないが、減額される場合がある
まず、はっきりさせておきたいのは次の点です。
✅ 働いているからといって年金が「削除」される(=全額もらえなくなる)わけではありません。
ただし、条件によっては、「一部」または「全部」支給停止になる場合があるのです。
これは「在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん)」という制度に基づいています。
「在職老齢年金」とは?
「在職老齢年金」とは、働きながら年金を受け取る人の年金額が、収入に応じて調整される制度のことです。
● 対象になる人
・老齢厚生年金を受け取っている
・60歳以上で、厚生年金に加入して働いている
つまり、65歳以上で会社などに勤めていて厚生年金に加入している人がこの制度の対象になります。
● 対象外の部分もある!
ここで安心してほしいのが、
✅ 「老齢基礎年金(国民年金の部分)」は減額されず、全額もらえます。
調整されるのはあくまで、**厚生年金の部分(老齢厚生年金)**です。
65歳以上の支給停止ルール(2025年時点)
2025年現在のルールでは、65歳以上で働いている場合、以下のような条件で年金が調整されます。
● 収入と年金の合計が「月51万円」を超えると…
・働いて得る月収(標準報酬月額)
+
・年金(老齢厚生年金)の月額
=
➡️ この合計が 51万円を超えると、超えた分の「半額」が年金から差し引かれます。
● 具体例でイメージ
例えば:
・月収:40万円(厚生年金に加入中)
・年金(厚生年金):15万円
➡ 合計:55万円 → 51万円を4万円オーバー
➡ 支給停止額:4万円 × 1/2 = 2万円が年金から引かれる
つまり、15万円の年金のうち、13万円しかもらえないということになります。
どういう人が「全部停止」になる?
支給される老齢厚生年金がもともと少なく、かつ給与が高い人は、全部が支給停止になる可能性があります。
例:
・月収:50万円
・年金:10万円
→ 合計:60万円 → オーバー分:9万円 → 支給停止額:4.5万円
→ 年金10万円から4.5万円引いても、まだ5.5万円は支給されます
このように、よほどの高収入でない限り、「全部停止」は珍しいです。
年金は「もらえなくなる」のではなく「一時的に止まる」だけ
もう一つ大事なことがあります。
💡 支給停止された分の年金は「消えてなくなる」わけではありません。
働いている期間が終わって年金のみの生活になれば、再び満額支給されるようになります。また、働きながら保険料を払っている分は、あとで「年金額の増加」という形で反映されます。
働くことは損じゃない!
ネットでは「働いたら損」「年金が減らされるなんてひどい」と言われることもありますが、実はそうではありません。
・長く働けば、将来もらえる年金額も増える
・健康を保ち、社会とのつながりも維持できる
・収入も年金も両方あることで、生活の安定につながる
「年金が減る」という側面だけでなく、トータルで見て得か損かを判断することが大切です。
まとめ:正しく理解して、安心して働こう!
✅ ポイントまとめ
・年金は「削除」されない
・65歳以上でも働き方によっては一部支給停止される
・「老齢厚生年金」のみが対象、「基礎年金」は減らない
・月51万円が基準ライン
・高収入の人のみ「全部停止」の可能性あり
・働くことで将来的な年金額も増える
最後に:将来が不安なあなたへ
年金制度は複雑で、しかも毎年のようにルールが見直されます。「難しいから…」と目を背けたくなる気持ちもわかります。
でも、知っておけば損をしないのが年金です。
あなたが65歳を過ぎても安心して働き続けられるよう、この記事がその一助となれば幸いです。
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