「日弁連に人権救済を申し立てた」ってどういうこと?
~誰でも使える人権を守る仕組みを分かりやすく~
はじめに
ニュースなどで「〇〇さんが日弁連に人権救済を申し立てた」という言葉を聞いたことはありませんか?
なんだか難しそうですが、これは簡単に言えば「自分や誰かの人権が侵害されたと感じたときに、弁護士の団体に助けを求めること」です。
実はこの制度、特別な人だけが使えるものではなく、私たち一般の市民でも利用できる仕組みなんです。
今回は、この「人権救済の申し立て」とは何なのか、どんなメリットがあるのか、そして申し立てをするとどう見られるのか、分かりやすく説明していきます。
日弁連ってどんなところ?
日弁連(日本弁護士連合会)は、全国の弁護士をまとめる団体で、「人権を守ること」を大きな使命としています。
その中にあるのが、「人権救済申立制度(じんけんきゅうさいもうしたてせいど)」という仕組み。
これは、
「人権が侵害されたかもしれない」
という出来事について、弁護士会が調べ、必要があれば関係機関に改善を求めてくれる制度です。
誰でも申し立てできるの?
はい、誰でもできます。
特別な資格もいりません。
たとえば、こんなケースが対象になります。
行政から不当な扱いを受けた
学校や職場でのいじめ、ハラスメント
報道によるプライバシーの侵害
差別的な対応を受けた など
申立書は自分で書いて提出でき、費用はかかりません。
弁護士をつける必要もなく、手軽に相談できる点が大きな特徴です。
裁判とはどう違うの?
裁判は「お金(損害賠償)」や「法律上の責任」を問う仕組みですが、
日弁連などへの人権救済申立ては、もっと社会的・道義的な立場からの救済を目的としています。
弁護士会が中立の立場で調査を行い、
「これは人権侵害だ」と判断すれば、
関係機関に対して「改善してください」「注意が必要です」といった勧告を出すことができます。
つまり、法的な強制力はないけれど、社会的な重みはあるという仕組みなんです。
申し立てることでどんなメリットがあるの?
● 声を上げることで問題が社会に伝わる
弁護士会が調査を行うことで、これまで見過ごされていた問題が社会に知られるきっかけになります。
それによって、同じような被害を防ぐことができたり、制度が改善されたりする可能性もあります。
● 精神的な支えにもなる
自分の話をきちんと聞いてもらい、第三者が事実を調べてくれる。
そのこと自体が「自分は一人じゃない」と感じられる心の支えになることもあります。
「反省がない」と思われることはあるの?
場合によっては、「自分が悪いことをしたのに申し立てるなんて」と誤解されることもあります。
でも、この制度の本質は「誰にでも人権がある」という考え方にあります。
たとえ問題を起こした人であっても、
その後の扱いが不当であったり、報道などで過剰に晒されたりすれば、
「それは行き過ぎた人権侵害ではないか」と声を上げる権利があるのです。
つまり、申し立てをすること自体が「反省していない」とは限りません。
むしろ、「正しい形で自分の立場を整理したい」という意思表示にもなり得ます。
まとめ
「日弁連に人権救済を申し立てた」とは、
弁護士会に対して「人権が侵害された」と訴え、調査と改善を求めた
という意味です。
・一般市民でも無料で利用できる
・裁判とは違い、社会的・道義的な救済を目指す制度
・弁護士会が中立的に調査し、必要に応じて改善を促す
・申し立てをすること自体は「反省がない」こととは別問題
人権救済の申し立ては、決して特別な人のものではなく、
「人として尊重されたい」という誰もが持つ思いを守るための大切な仕組みです。
私たち一人ひとりがこの制度を知っておくことが、
社会全体で人権を守る第一歩になるのではないでしょうか。
0コメント