「空き家の固定資産税が6倍に!? 管理不全空き家制度と家計リスクを徹底解説」
最近、ニュースや新聞でもよく見かけるようになった話題――
**「空き家の固定資産税が最大6倍になる」**という衝撃的な見出し。
「うちは関係ない」と思っていませんか?
実は、この制度はごく普通の相続家庭、空き家を放置しているだけの方にとっても、
家計に直撃する可能性がある深刻な法改正です。
今回は、行政書士としての法制度の知識と、FPとしての家計管理・資産形成の視点から、
この問題をわかりやすく解説していきます。
【第1章:空き家対策特別措置法の改正とは?】
まずは制度の概要から整理します。
▶︎背景
日本全国で空き家が急増。
総務省によると、2023年時点で空き家は約900万戸、全住宅の13%以上に達しています。
少子高齢化・都市集中により、
地方の実家・離れた土地・利用されない空き家が問題化しています。
このような状況を受けて、
2015年に「空き家対策特別措置法」が施行。
さらに2023年に法改正され、2024年以降は**「管理不全空き家」**への措置が強化されました。
▶︎変更点の要点
項目 旧制度(〜2023年) 新制度(2024年〜)
・認定対象 特定空き家のみ 管理不全空き家を新設
・固定資産税の特例 特定空き家で除外 管理不全空き家でも除外
・対象基準 危険・衛生上の問題あり 外壁剥がれ・雑草放置など管理不十分
つまり、今後は「倒壊の危険なし」「まだキレイに見える」空き家でも、
✅ 草が生い茂っている
✅ 建物の外壁にヒビや剥がれ
✅ 郵便物があふれている
といった状態なら、「管理不全空き家」として税優遇から除外される可能性があります。
【第2章:固定資産税が6倍に!? どういうこと?】
固定資産税の計算では、「住宅用地特例」という大きな優遇があります。
▶︎住宅用地特例とは?
通常、住宅が建っている土地は、
・200㎡まで → 評価額の1/6
・200㎡超 → 評価額の1/3
の減額措置を受けられます。
例えば評価額600万円の土地なら、
優遇後の課税評価額は100万円。
これに税率(1.4%)をかけて、年額14,000円となります。
しかし、この特例が外されると…
600万円 × 1.4% = 年額84,000円
6倍に跳ね上がるということになります。
【第3章:行政書士ができる対応】
空き家のリスクを抱えている方が、よく陥るお悩みは以下の通りです。
✅ 相続した実家を放置している
✅ 名義変更(相続登記)が終わっていない
✅ 兄弟間で意見が分かれて何もできない
✅ すぐに売る気はないが、貸す予定もない
こうした場合、行政書士として以下の対応が可能です。
▶︎主な支援内容
・相続人調査・相続関係説明図の作成
・相続登記のための遺産分割協議書作成
・共有不動産の整理、意見調整の補助
・空き家バンクや自治体補助金の活用サポート
・解体や管理委託に必要な行政手続き全般
特に香川県など地方では、空き家を解体しても売れずに土地だけ残ることも多いため、
「活用」「管理」「売却」など、選択肢の提案と実行支援が重要です。
【第4章:FPの立場から見る家計・資産リスク】
空き家は「資産」ではなく、将来的な家計の重荷になる可能性があります。
▶︎FPが警鐘を鳴らす3つのリスク
1.税金と維持費で年間10万円以上の赤字に
→ 固定資産税+管理費(草刈り、保険など)
2.空き家保険の割高化と加入制限
→ 放置状態では火災保険にすら入れないケースも。
3.売却価値の低下と「負動産化」
→ いざ売ろうと思っても、老朽化や周辺環境の悪化で買い手がつかない。
▶︎今すぐできる家計防衛策
✅ 空き家の有無を確認し、管理者を決めておく
✅ 将来の相続に備えて贈与・譲渡・信託などの検討
✅ 土地・建物の価値と維持コストを見える化(キャッシュフロー分析)
✅ 収益化(貸家・店舗・トランクルーム)への転換検討
FPとしては、「今は使っていないけど残しておきたい」気持ちも理解したうえで、
**「資産の棚卸し」と「持つリスク」**のバランスを見直すことを提案しています。
【第5章:まとめとご案内】
空き家問題は、相続・税金・家計・地域問題が複雑に絡み合っています。
放置しているうちに、「特定空き家」や「管理不全空き家」に認定され、
固定資産税の優遇を失い、想定外の支出が発生することも。
法律的整理、資産と家計の再設計、
両面からトータルに考えていく必要があります。
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