相続土地国庫帰属制度の落とし穴と活用法
~「いらない土地」は国に引き取ってもらえるのか?~
はじめに
相続したものの、使い道もなく管理にも困る土地。そんな悩みに応えるために令和5年にスタートした「相続土地国庫帰属制度」ですが、制度開始から2年が経ち、運用実態やトラブルも見えてきました。
行政書士としての視点から、この制度の現状と注意点を深掘りします。
相続土地国庫帰属制度とは?
この制度は、使わない・使えない土地を手放したい人が国に土地を引き取ってもらう制度です。
所有権を国に移転することで、固定資産税や管理の負担から解放される仕組みになっています。
対象となる土地
以下のような条件を満たす必要があります。
・建物が建っていない
・担保がついていない
・他人による使用がない(賃貸中などNG)
・土壌汚染がない
・隣接地と境界争いがない
これらをクリアし、申請が通れば所有権は国へ移り、管理責任も消滅します。
申請の流れ
① 書類準備(登記簿謄本・地図・現況写真など)
② 法務局への申請
③ 現地調査・審査
④ 承認・負担金支払い(10年分の管理相当額)
⑤ 国庫帰属(所有権放棄)
制度のメリット
・不要な土地の処分が可能
・将来の相続争いや管理負担の軽減
・空き地の放置による近隣トラブルの予防
しかし注意!落とし穴も多い
・不承認のケースが多い:申請の約4割が却下という実態(2024年調査)
・費用が高い:負担金が数十万円にのぼる場合も
・境界確定が必要:測量や立会いに費用と時間がかかる
・他の相続人の同意が必要な場合も
活用が向いているケース
✅ 山林や農地で今後使う予定がない
✅ 相続登記は済んでいるが売却が難しい
✅ 放置すると近隣に迷惑がかかる恐れがある
✅ 自治体の空き家バンクでも扱えない土地
活用より「整理」が先?
この制度は「最終手段」であり、まずは売却・寄付・利活用を検討すべきです。
また、相続前から土地の価値や状況を把握しておくことが重要です。遺言書での対策も有効です。
我々がお手伝いできること
・必要書類の収集代行
・相続登記の司法書士との連携
・相続人間の意見調整
・自治体の空き家対策制度とのマッチング
まとめ
制度自体は画期的ですが、現実には申請が通るハードルが高く、誰でも簡単に使えるわけではありません。
だからこそ、専門家のサポートが不可欠です。
「相続した土地をどうすべきか?」と悩む方は、一度ご相談ください。
0コメント